ある植物の話 旅の話 眠れる獅子と恐れられた清を、骨抜きにしてしまったアヘン。 一つの植物が大国をも腐らせたと歴史で習った記憶が甦る中、アヘン中毒者のもとで撮影することとなった。 多くを語る気はないが、アヘンを吸うことしか体を動かさない無気力さに愕然とした。 ケシの花の美しさが罪深く映った瞬間だった。 一応、撮影許可と撮っての撮影だったが、なにぶん遠い目をしていたので、いつ飛び掛かってこられてもいいように中腰での撮影となった。 アヘンの煙に包まれた彼の姿は、どこか美しく一瞬心を奪われた。