路上のその先
路上のその先
初めて異国の地を旅したのは18歳。
若かった僕は、お金を持たず、野宿で東南アジアを旅した。
その時、目指した場所が「メコン河」だった。
結局、数ヶ月旅したが、同性愛者に拾われたり、事故に遭ったり、警察に拘束されたり、ストリートチルドレンにしばかれたりして、メコン河には辿り着けなかった。
その時から、僕にとってメコン河は、憧れの場所となった。
路上に寝そべり、不安な夜を明かしながら目指した場所に、それから数年後、初めて訪れた。
そこには、「東南アジアの大河」・「母なる河」と呼ばれ敬愛されるメコン河があった。
その時の感動は、今も忘れることができない。
そして、メコン流域に暮らす人々の素朴さに惹かれ、その暮らしぶりを撮影し始めた。
中国・ミャンマー・タイ・ラオス・カンボジア・ベトナムと、6ヶ国を流れる大河は、その場所に暮らす人々の生活を支える母なる河だった。
アシスタントを辞め、フリーランスとして独立する時、仲間達と事務所を立ち上げた時、人生の大切な節目に、僕はメコンを旅する。
初めてメコン河を見た感動を忘れないために・・・そしてメコン河を目指したあの旅を忘れないように・・・。
路上のその先